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第1回「コンビニブランド力調査」



[調査の概要]

調査の目的:コンビニ各社のブラン力とその有効性の調査
調査日程:06/07/19〜06/08/07
調査人数:999〜1000人(調査項目により異なる)

質問項目:
1.  次のコンビニの中で、イメージの良いコンビニを教えてください。(複数選択)
2.  次のコンビニ弁当の中でイメージの良いところはどこですか。(複数選択)
3.  2.で選んだ理由は何ですか。(複数選択)
4.   明日の昼ごはんをコンビニ弁当にすることにしました。どこで購入しますか。(択一)
5.  4.で選んだ一番の理由は何ですか。(択一)

各質問のねらい:
1. コンビニのブランド力調査
2. 弁当(総菜)に限定したブランド力調査
3. 弁当(総菜)に対する信頼源の調査
4. ブランド力と実際の選択との関係調査(ブランド力の効果)
5. 選択決定要素の調査

調査対象:
セブンイレブン
ローソン
ファミリーマート
サークルKサンクス
デイリーヤマザキ
エーエムピーエム


[結果の概要:コンビニのブランド力]

1位 セブンイレブン
2位 ローソン
3位 ファミリーマート

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コンビニのブランド力

1. 各コンビニの得票数

「イメージの良いコンビニはどこですか」という問いに対する回答をコンビニに対する選好・ブランド力であるとすると、各コンビニのブランド力は次のようになりました。

セブンイレブン:598
ローソン:443
ファミリーマート:378
サークルKサンクス:189
デイリーヤマザキ:60
エーエムピーエム:215

(数値は得票数)

 

2. 店舗数とブランド力の関係

次に、店舗数とブランド力の関係を調べるために各コンビニの店舗数に対するブランド力を指標化すると(得票数割合÷店舗数割合×100)、セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートの大手3社はそれぞれ101・102・108であったのに対し、サークルKサンクス・デイリーヤマザキは、それぞれ57・60となりました。中堅チェーンは上位チェーンと比べると投入資源に対し得られるブランド力が低い可能性があるといえるでしょう。

セブンイレブン:101
ローソン:102
ファミリーマート:108
サークルKサンクス:57
デイリーヤマザキ:60
エーエムピーエム:293
(数値:店舗数に対するブランド力)

 

3. 規模とブランド力の関係

規模(店舗数や広告宣伝量)は信頼の獲得に影響を与えますが、必ずしも規模とブランド力は比例するわけではありません。規模で劣るエーエムピーエムが最高値の293を獲得したことが注目されます。エーエムピーエムの特色が保存料無添加の冷凍弁当「とれたてキッチン」といったの総菜部門にあるとすると、コンビニのブランド力の源泉として総菜部門の評価が大きく関わっているといえるでしょう。

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ブランド力の影響度

1. 弁当(総菜部門)に限定したブランド力

次に、コンビニにおいてブランド力が実際の購買にどれだけ影響を与えるのかを調べるために、弁当に限定したブランド力と購入店舗の調査を行いました。

コンビニ弁当に限定したブランド力調査の結果は以下の通りです。コンビニチェーン全体に対する好感度と、コンビニ弁当に対する好感度は概ね一致するものでした。コンビニのイメージが弁当の好感度を引き出すのか、弁当のイメージがコンビニ全体のイメージに影響を与えるのかについては明確な関係は分かりませんが、そもそも専門的知識や能力が欠如しているというブランドの存在基盤を考慮するとどちらも相互に影響しあっているといえるでしょう。

 

【コンビニブランド力と弁当のブランド力】

  コンビニの好感度 弁当に限定
セブンイレブン 598(32%) 585(36%)
ローソン 443(24%) 342(21%)
ファミリーマート 378(20%) 291(18%)
サークルKサンクス 189(10%) 141(9%)
デイリーヤマザキ 60(3%) 49(3%)
エーエムピーエム 215(11%) 217(13%)
* 数値は各ブランドの得票数、括弧内の数値は総投票数に対する各ブランドの得票数の割合(%)。

 

2. ブランド力と選択の関係(ブランド力の効果)

ブランド力と実際の購買の関係をより詳しく調べるために、多くのコンビニが集まる関東在住者に限定した分析を行った所、コンビニ全体の好感度よりも弁当に限定した好感度の方が高かったセブンイレブンとエーエムピーエムが、店舗数割合よりも選択割合の方が高いという結果となりました。家電などに比べるとその影響力は低くなりますが、コンビニのブランド力も店舗選択にある程度の影響を与えているといえます。

 

【コンビニブランド力と弁当のブランド力】

  コンビニの好感度 弁当に限定
セブンイレブン 289(32.4%) 293(37.4%)
ローソン 208(23.3%) 155(19.8%)
ファミリーマート 168(18.9%) 128(16.3%)
サークルKサンクス 71(8%) 49(6.2%)
デイリーヤマザキ 26(2.9%) 21(2.7%)
エーエムピーエム 129(14.5%) 138(17.6%)

* 数値は各ブランドの得票数、括弧内の数値は総投票数に対する各ブランドの得票数の割合(%)。


【実際の店舗選択】

  実際の店舗選択 店舗数との関係
セブンイレブン 228(49.1%) 127
ローソン 69(14.9%) 86
ファミリーマート 64(13.8%) 72
サークルKサンクス 25(5.4%) 46
デイリーヤマザキ 8(1.7%) 35
エーエムピーエム 70(15.1%) 180

* 「実際の店舗選択」の欄の数値は各ブランドの得票数、括弧内の数値は総投票数に対する各ブランドの得票数の割合(%)。
* 「店舗数との関係」の欄は、選択割合÷店舗数割合×100、で算出。

 

【ブランド力の効果】

  コンビニ全体の好感度 弁当に限定した好感度 変動値   店舗数との関係
セブンイレブン 32.4% 37.4% +4.9 127
ローソン 23.3% 19.8% -3.6 86
ファミリーマート 18.9% 16.3% -2.5 72
サークルKサンクス 8% 6.3% -1.7 46
デイリーヤマザキ 2.9% 2.7% -0.2 35
エーエムピーエム 14.5% 17.6% +3.1 180

* 「好感度」の欄は、総投票数に対する各チェーンの得票数の割合(%)。
* 「店舗数との関係」の欄は、選択割合÷店舗数割合×100、で算出。


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各社の特徴

1. 選択決定要因 

  近くにあるから コストパフォーマンス 種類が豊富 安全性 美味しいから 特定店舗の選好 チェーンへの選好
セブンイレブン 48% 1% 11% 4% 23% 5% 7%
ローソン 57% 6% 8% 2% 10% 8% 9%
ファミリーマート 58% 6% 7% 2% 11% 8% 8%
サークルKサンクス 66% 8% 8% 1% 2% 5% 8%
デイリーヤマザキ 47% 17% 10% 10% 10% 3% 3%
エーエムピーエム 32% 5% 7% 23% 21% 5% 7%
 

上の表は、実際に利用するコンビニの選択理由を百分率で表にしたものです。対面調査ではない点で、この調査では選択要因を決定づけることはできませんが、各社の特徴を示しているといえるでしょう。

 

2. 男女別の選好

男女別の選好率を分析すると、それほど差はありませんでしたがサークルKサンクス・デイリーヤマザキは女性の選好比率が低く、ファミリーマートが若干高いという結果となりました。

セブンイレブン:105
ローソン:94
ファミリーマート:118
サークルKサンクス:70
デイリーヤマザキ:82
エーエムピーエム:104

(数値:女性の得票割合÷店舗数割合×100)

 

3. 各社の特徴

セブンイレブン
非常に強いブランド力があります。ブランド力がいくらあったとしても店舗が近くにあれば利用されませんが、ブランド力があることでコストをかけた商品が受け入れられやすくなります。ブランド力をさらに高めるためには、コンビニがもつ健康や環境に良くないというイメージを排除するような大胆な戦略転換が求められるといえるでしょう。

ローソン
大手ゆえのブランド力をもっていますが、弁当のように限定し、より具体的な信用力を問うと、トップのセブンイレブンには大きく離されてしまいました。CMなどによって漠然とした良いイメージはもたれていますが、規模以外には信頼の源泉を獲得できていないようです。

ファミリーマート
ローソンと同じく、弁当に関しては特に悪いイメージがないが支持されているわけでもないという結果でしたが、、店舗数に対するブランド力では一位であり、また、女性の支持割合が一番高いという結果が出ていることから、ファミリーマートのブランド戦略は成功しているといえるのではないでしょうか。後は、この良いイメージを弁当開発などで具体的な購買活動につなげることが課題となるでしょう。

サークルKサンクス
差別化が特に重要となる中堅チェーンにおいて、その差が消費者に認識されていないことからブランド力が獲得できておらず、それが弁当の良くないイメージにつながっているようです。「美味しいから」を選択した消費者が2%しかおらず、「近いから」を選択した消費者が一番多いという結果となりました。

デイリーヤマザキ
デイリーヤマザキは弁当に関しては良い評価を得ているもの、店舗数が少ないこともあり、あまりブランド力を獲得できていません。ブランド力を獲得するためには、山崎製パンのイメージから変えていく必要があるでしょう。

エーエムピーエム
ファミリーマートと比べると店舗数では半数にも満たない反面、好感度の得票数は肉薄し、弁当に限定した好感度の得票数はエーエムピーエムが上回るという結果でした。冷凍弁当という手法を開発してまでの”こだわり”が評価されたと考えられ、「美味しいから」と「安全だから」という理由の多さに表れています。しかし、大手チェーンが同様のサービスを提供している場合、大手に対する信頼は通常中小を上回ります。大手チェーンがより安全な弁当に取り組み始めた場合に備え、より理念の追求・実現に取り組み、信頼を高めておく必要があります。

 

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まとめ

画一性で成長してきた業界ですがブランド力に関しては大きな差が付きました。特に注目されるのが、エーエムピーエムのブランド力です。消費者は決してコンビニを単にコンビニやコンビニ弁当とみるのではなく、しっかりとそれぞれを区別し、信頼できるか否かといった印象を形成しているといえます。

保存料や添加物の多い、または、その様なイメージからの脱却が課題となります。一つの解答がエーエムピーエムの戦略であるいえますが、単に保存料の無添加が信頼獲得の源泉ではなく、冷凍弁当のような”こだわり”こそが消費者の信頼を勝ち取る決め手となります。 

 

[調査データ]

コンビニイメージ調査(PDFファイル)

コンビニ弁当イメージ調査(PDFファイル)

 

(2006/08/16)

 

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[参考]

livedoor ニュース - コンビニ満足度 7&iが1位
ブランド経営あれこれ - ブランドを支える信頼


「男性客7割、成長のカギは女性客」

24時間営業のコンビニエンスストアは全国津々浦々に広がった。実はコンビニ客の7割は男性で、とくに若い男性がこれまでの成長を支えてきた。しかし、売上(既存店)は00年から6年連続で前年割れ(日本フランチャイズチェーン協会調べ)。さらに成長するには女性客を増やすしかない−各社とも商品開発にしのぎを削り始めた。
「女性客が有望」という結論は、ローソンが01年から働く女性を主な顧客層に想定して展開しているナチュラルローソンの業績が示している。

ナチュラルで得たノウハウを通常店でも活用。9月中旬、25〜35歳の女性向けに開発した「五穀ハヤシとグリル野菜」(税込み480円)を発売した。
コンビニ弁当といえば、商品名に「大盛り」や「ボリューム」といった枕詞をつけ、量を強調するのがヒットへの近道で、「揚げ物無しでは売れないという暗黙のセオリー」(同社広報)もあった。

素材を吟味して専門店の味に近づけ、ネーミングも工夫。たとえば、チーズやメレンゲを組み合わせたフランス菓子、「クレメダンジェ」(税込み230円)。男性向けなら「ふわふわチーズケーキ」とでも名付けるところだが、「女性が専門店の味を連想できる名称」(同社商品本部)にしたという。
同社は、「女性向け商品がそろっているというイメージが来店のきっかけになれば」と期待する。
サークルKサンクスは、店内調理を充実させた女性向け新業態「フォーク トーク」を9月下旬にオープン。女性客を取り込もうという争いは、熾烈さを増している。

(朝日新聞(日曜版)、2006年10月22日、抜粋)

 

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