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ブランドとは

ブランドとは、ブランドに対する信頼や憧れの感情であり、これらの感情が商品の購入に影響を与えることになります。

信頼や憧れといった感情が生まれ、これらの感情によって購入意志決定が影響を受けるのは、消費者が専門家ではないことと人間であるからです。

消費者が専門家ではないことからブランドという評価基準が意味をもち、消費者が人間であることから絵画のような存在に価値を認めることになります。専門家ではないことから生じる選択不安、ならびに、心理的な価値の希求がブランドの存在基盤となり、各々の存在基盤を基礎に機能ブランドと官能ブランドという異なる性質を持った二つのブランドが成立します。

機能ブランドとは、消費者が専門家ではないことから生じる商品の評価不安を背景に成立し、商品の信頼性を心理的に保証するブランドであり、官能ブランドとは、消費者の心理的価値の欲求を背景に成立し、商品の機能的価値とは独立した価値を提供するブランドである。

機能ブランドと官能ブランドはそれぞれ成立過程が異なるものであり、またそれゆえに、その特徴も異にするものです。エルメスと花王は同じくブランドですが、それぞれのブランドはその性格や存在意義という意味ではかなり異なる存在であることは理解していただけると思います。エルメスから想像されるブランドが官能ブランドであり、一方、花王から想像されるブランドが機能ブランドとなります。

機能ブランドと官能ブランドはブランドの成分となるものであり、通常はどのブランドにも比率こそ違えど含まれています。たとえば、日本車ブランドは官能ブランドよりも機能ブランドの要素が強く、輸入車ブランドは一般的に機能ブランドよりも官能ブランドの要素が強いといえます。


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なぜブランドが企業にとって重要なのか

ブランドが企業にとって重要なのは、ブランドの存在基盤が拡大しているからです。すなわち、選択すべき商品数が多く、また、どこの商品であるか、ということが重要となってきたからです。

経済が発達していない遙か昔においては、選択すべき商品数も多くなくその商品も農産物や簡単な加工品などであったため、商品の評価にそれほどの不安はありませんでした。しかし、近年は商品数は非常に多くまた添加物の問題やや商品の高機能化など、選択にかかる不安は大きいといえます。
また、特定の商品を所有していることが地位の証であった時代とは異なり、お金さえ出せば誰でも同じ商品を購入できるようになりました。そうすると、商品を所有していることよりも、どこの商品なのかが重要となってくるのです。


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ブランド力とは

ブランドの本質が、名称に対する信頼や憧れといった感情である所、ブランド力があるということは、それだけ当該ブランドなどに信頼や憧れの感情があることを意味します。

ここで重要なことは、いくら信頼や憧れの感情があったとしても、その企業にほしい商品がなければブランド力が意味を成さないことがあるということです。すなわち、たとえブランド力があったとしても、業績に結び付かないことがあるということです。

機能ブランドは、選択における不安が大きい商品群(高額である、高機能である、など)により有効に機能し、官能ブランドは、趣味性が強い商品の場合に有効に機能します。
趣味性よりも商品の信頼性が重視されることもあり、また、その反対もあります。さらには、ブランドよりも商品の機能差異が重視される商品群もあり、また、商品の評価不安も市場に登場してからの年数によって逓減していくものです。ブランドの測定・分析においては、この点が十分に理解され把握されていなければなりません。


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ブランド力測定の要点は

機能ブランドと官能ブランドではその働きや機能が異なるので、それぞれ別々に測定される必要があります。

ブランド力が消費者の選択意志決定に与える影響の程度は、商品の特性(評価は容易か、趣味性が強い商品か、差異機能が重視されるのか)によって大きく異なります。測定結果の分析には商品の分析が不可欠となります。

ブランド力の順位と販売(数)の順位との一致の程度を調べる必要があります。一致していれば、ブランド力が有効に機能したことを意味し(または、ブランド力と商品力が一致した)、一致していなければ、当該商品群はブランド力ではなく、商品力や価格が選択における重要な要素であることを意味します。


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ブランド経営とは

ブランドに対する信頼や憧れといった感情を獲得することがブランド戦略となります。しかし、中身を疎かにして広告宣伝戦略によって信頼や憧れを獲得しようとすることは、結婚詐欺と同じです

ブランド経営とは、機能ブランドに関しては信頼できる人になることであり、官能ブランドに関しては憧れの人になることを意味します。人から信頼されたり憧れられたりするのに一つの解答はない所、ブランド経営にも一つの答えはないことになります。


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目次


より詳しくは:

→機能ブランド・官能ブランドという考え方<<論文>>