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販売データに基づいたブランドの測定手法について

販売実績を加味したブランド調査は、商品の評価や価格の影響を受け、ブランド力そのものを純粋に測定することができない。たとえば、歯磨き粉の販売ランキング上位の商品はよく知られた商品であるが高くはない商品であり、ランキング下位の商品は高機能であるが高価格な商品であるはずである。前者の商品は少なくとも品質に不安はないと考えられているブランドであるが、後者の商品こそがブランド力のある商品であるといえる。

ブランドの価値を、会計的側面を重視して測定しようとする場合や、ブランドが企業に現在どれだけ貢献しているのかということを測定しようとする場合を除いて、販売実績に基づいたブランド測定は問題がある。


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一般的な消費者調査とブランドの理解

自由連想法の問題は、連想された「ユニークである」や「伝統がある」といったイメージが商品選択にどのような意味を有するのかが不明な点にある。「伝統がある」という結果だけでは、官能ブランドに関しては、古臭いという悪いイメージなのか、老舗としての好ましいイメージなのかが不明であるし、機能ブランドに関しては、時代遅れの商品という悪い評価なのか、または老舗ゆえの高品質であるという良い評価なのかが判別できない。

自由連想法は、自社のイメージを詳細に捉えるという点では優れた方法であるが、自由連想法のみではブランドの管理に何らの課題を提供しない可能性がある。


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本サイトにおける測定手法

測定項目 測定手法
機能ブランド力 企業のブランド力
「〜社(ブランド)の商品は良い商品だと思いますか。他社(ブランド)と比べてどうですか。リストの中で順位・点数を付けてください」

商品分野別の調査
「〜を購入するとして、どの社の商品(ブランド)が良い商品だと思いますか。思い浮かべたブランドはどれだけあなたの選択に影響を与えますか」

官能ブランド力 「〜ブランドに魅力(格好良さなど)を感じますか。他の(ブランド)と比べてどうですか。リストの中で順位・点数を付けてください」
「魅力(格好良さなど)を感じるブランドとして思い浮かんだものに10点満点で点数を付けてください」


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分析と利用

ブランド力と販売実績の差異

企業のブランド力

ブランド力があるにもかかわらず販売が不振であることは商品に魅力がないことが原因であると考えられ、ブランド力がないにもかかわらず販売が好調であることは商品に魅力があることを意味する。

商品分野別のブランド力

ブランド力と販売実績の、順位の一致の程度から、当該商品分野におけるブランドの有効性の程度を判断することができる。

ブランド力の順位と商品の順位が一致していない場合は、差異機能や価格によって商品が選択されていることを意味し、当該商品群の選択にはブランドが有効に機能していないことを意味する。一方、ブランドの順位と商品の順位が一致する場合は、ブランドが商品選択に有効に機能した結果か、ブランド力と商品力が一致していることを意味する。

 

ブランド力と販売実績 選択におけるブランドの有効性 当該商品群における商品選択基準
不一致 ブランドは無効 ブランドではなく商品力(または価格)によって選択されている。
一致 ブランドは有効 ブランドが重要な商品群であるか、または、ブランド力と商品力が一致している。


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差異の原因

ブランド力と販売実績の比較から次のような分析結果を想定することができる。


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潜在的なブランド価値と顕在的なブランド価値

ハリスインタラクティブ社(Harris Interactive Inc.)は、「あなたにとって“ベスト・ブランド”は何ですか」と問うブランド調査を行っている。 この調査は機能ブランドと官能ブランドを区別しておらず、また、商品分野ごとの調査も行われていないものの、本論の測定方法に近い 。一方、インターブランド社(Interbrand Inc.)の実施しているブランド価値の測定方法はブランド起因利益を基礎としており、販売実績が加味されている 。 ハリスインタラクティブ社が2003年7月に行ったブランド調査ではソニーは4年連続でトップを獲得したにもかかわらず 、 同年のインターブランド社のブランドランキングでは20位であった 。

インターブランド社の調査結果は、現在どれだけブランドが企業に貢献しているのかを示す指標となるのに対し、 ハリスインタラクティブ社の調査結果は潜在的なブランド力ないし純粋なブランド力を測定した結果となる。


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